日本企業は海外企業と比べて生産性が低いとよく言われます。
今日はなぜ日本企業の生産性が低いのかについて考えてみたいと思います。
なぜ日本企業の生産性は低いのか?
様々な理由があると思いますが,ずばり、無能な働き者が出世していく構造だからではないかとおもいます。どういうことでしょうか。
ハンス・フォン・ゼークトの無能論
ドイツ陸軍のハンス・フォン・ゼークトの言葉に以下のようなものがあります。
有能な怠け者は司令官に、有能な働き者は参謀にせよ。
無能な怠け者は、下級兵士にすべし。
無能な働き者は、すぐに銃殺刑に処せ。
銃殺刑とは穏やかではないですが,彼の意図することろはこうです。
「有能な怠け者」は有能であるが故にことの是非を決することができる。そして、怠け者であるがゆえに他人を用いて任せることもできるので,上に立つものとして最適である。
「有能な働き者」はことを判断することはできるが、働き者であるがゆえに他に任せ切ることができない。よって、上に立つよりも参謀として補佐する立場が適当である。
「無能な怠け者」は自分で判断できないし、自ら動こうともしない。
よって、命ぜられたことをそのまま遂行する立場に適任てある。
「無能な働き者」は自分で適切な判断もできないのに、勝手に動く。これは余計なことをして迷走するものである。
(Wikipediaより一部改訂)
ゼークトの理屈だと,無能な働き者は管理者かどうか如何を問わず組織運営上好ましくないものとしています。いわんやそういう人が管理職になったらなおさら組織としては不幸です。無能な働き者が管理職になる。。。はいこれ、完全にわが社です笑。私この人の言葉知らなかったころから,「全然判断もできないくせにやる気+声がでかいだけの人が部長以上の役職しめてるなぁ~。」とつくづく思っていました。いろいろな企業があると思いますが,少なくともわが社では実務能力よりもむだにやる気高い人が出世している傾向にあります。こういった人が役職を持った場合,どのようになるでしょうか?
・自分で判断できないのでどんどん不安症を発症しパワハラ上司化する
↓
・不安を抑えるためにとにかくいちいち報告&事細かな計画をたてさせる
(それでも理解できず永遠に何度も説明させる)
↓
・本来有意義な業務をするはずの有能な人が疲弊しパフォーマンスが低下する
これだけが日本の生産性の低下を引き起こしているわけではないと思いますが,少なくともわが社ではこういった現象をよく見ます。
「無能な怠け者」はなにもしないので生産性は0です。むしろ適切な「有能な怠けもの」を上司にすればプラスになるでしょう。「無能な働き者」は上記プロセスにより有能な人を阻害するため生産性はマイナスです。また,どのような場合でもプラスになることがないのでハンス・フォンテ・ゼークトは「銃殺せよ」と述べているのでしょう。もちろん現在の法治国家で銃殺するのは犯罪ですが,クビにすることはできます。しかし,日本の企業において,業績悪化時を除いて社員が首を切られるということはまずありません。しかも,こういった「無能な働きもの」に限って口だけはうまいので不況時にも淘汰されることはありません。いつまでも残り続けるのです。
以前受けた会社の研修で元GEの幹部を務められていた方のお話を聞く機会がありました。その際印象に残っていたお言葉に「GEでは給与査定の際“GEマインド”を持っているかが最重要視される。“GEマインド”を持っていない社員をクビにするのがGEの幹部のもっとも重要な仕事だ。」とおっしゃられていました。GEマインドの内容についてはさすがに説明がなかったのですが,少なくとも海外では組織として不適切な人をクビにするシステムが整っているということです。
マトリックスにするとおもしろいことが見えてくる
話を戻します。先ほどのゼークトの理論を表にすると以下のようになります。
面白いのが,「怠け者」は「有能」であろうが「無能」であろうが価値があります。一方で「働き者」は「無能」であった場合,価値がないということになります。日本人は働き者とよく言われますが,そのぶん価値がない社員の率も高いということになります。
誰でも自分が無能であると認めたくないものです。ですから自分では薄々無能であると感ずいていたとしても出世街道を望む。結果として「無能な働き者」が増殖する。というスパイラルが起こっているのではないでしょうか。
こんな偉そうなことを言っている私ですが,正直判断力は0です。ですので,ゼークトに言わせれば「無能」カテゴリーに属しそうです。「無能」なものが価値を持つには有能な人の判断を仰げばよいのです。日々の仕事に生かそうと思います。