年休取得を制度化、インセンティブを与える企業が出てきた
日本の有給休暇消化率は世界的に見ても低いと言われています。米エクスペディアの調査では2017年の日本の有給休暇消化率は50%で2年連続世界最低だったそうです。
この調査に関してはそもそも日本は有給休暇として与えられている日数が多いから日本は低めに出てしまうという反論もあります。多めの有給休暇が与えられているので,同じ日数有給を取得しても取得率としては低く出てしまうという論理です。
その点に関しては正しい部分もあると思いますが,フランス等をはじめとした欧州では1か月単位の休暇が一般的であること。私の知り合いでシンガポールで働いている人も2週間とか3週間という単位で休みを取って帰国していることからして,日本の休暇取得率は先進国には到底及ばない後進国であることは言えるでしょう。(シンガポールの会社では有給休暇の取得率が悪いと上司の査定が下がるとのこと)。
そもそも有給取得率50%というのは私からしたら非常に高い水準であり,取得率の分布が気になります。弊社でも一部の働かない老害社員はほぼ100%有給を取得しているのに対して年間2~3日しか取得していない人も多いです。(それも体調不良での取得。)
私の考える日本の社畜で休暇の取得率が悪い理由は以下の3点です
②上司が有給をとらないのでとりずらい
③社員同士もムラ社会的に監視してくる
① については上記で言及した通りになります。
② についてですが,部下に有給を取らせないために休まない上司も中にはいます。しかし,あえて言うとむしろ厄介なのはそのような圧力をかけてくる上司ではなく,圧力はかけてこないけど自主的に働き続けている上司です。仕事は無限にあるので,上司が働いている中おめおめと有給を取得するのはまっとうな神経の人であればかなりつらいことになります。なぜなら日本では業務の範囲が定まっていないので,自分がやらなければその上司がやるはめになったりします。有給取得を妨害してくるくらいならむしろ反骨精神を持てるのでいいのですが,あまり何も言ってこないで自分で抱えられるのは嫌です。
③ についてですが,本来みんなで協力して有給取得をすすめるべき一般社員同士がかげでこそこそ有給をとったことを非難するという一番たちの悪い行動です。彼らは有給をバンバンとっている年配の声の大きい社員のことについては文句を言わず,たまに取得する気の弱い年次の低い社員をやり玉にあげます。これはいったい何のためにしているのか全く理解不能なのですが,日本のムラ社会的な側面があるのは間違いないでしょう。どんな口実でもいいので,他人の評判を下げて自分の評価を挙げるというお得意の戦法だろうと思っています。
そんな中休暇取得に対する改革を進めている企業が出始めているようです。
富士通が休み方改革を推進
富士通は管理職以上を対象に年末年始や夏休み意外に平日5連休を取得することを義務化したそうです。平日5連休なので実質9連休となります。管理職以外の社員についても義務ではないが同様の取得を推奨しているそうです。
一見すると管理職だけが有給取得できてずるいような制度にも見えますが,かなり本質をついた改革だと私は思います。単純に弊社でこのような制度がもしできたらありがたいです。(もちろん私は管理職ではないです)。上記で指摘した②の問題が解決できるからです。
とてもいい改革だと思うので,富士通以外にも同様の取り組みをしている会社の名前と取り組み内容について紹介いたします。
連続2日以上の有給休暇取得で1日5000円、最大5万円の手当支給。10日間の連続取得も可能
リクルートキャリア
連続4日の有給休暇取得で5万円の手当支給
リクルートライフスタイル
会社指定日に有給休暇を取得すると3000円の手当支給
制度の広がりに期待したいが,逆手に取られないようにしたい
このような制度は今後どんどん広がっていってほしいです。しかし,お金を払ってインセンティブつけないと社員が休まないって,同調圧力社会ここに極まれりと言う感じです。
上記で挙げた企業は単純に社員の年休取得を促進したいだけだと思いますが,今後制度が広がった際にきちんと水平展開されるかがちょっと心配です。以前記事にしましたが,安倍首相が生涯現役世代を宣言しました。
さすがになんの飴もなくただ雇用期間を延ばすだけだと国民はついてこないので,連休をとらせるという飴を与えるという風なことにならないといいです。つまり定年を65歳、70歳まで伸ばす代わりに有給休暇の取得を推進する制度か法律を作るとかです。有給休暇が取得できるといってもたかが5日なのでそれで何年も定年を延長されたら割に合いません。
そもそも,有給を5日とるのはあたりまえのことなので,もし弊社でも制度化されてもあまりありがたがらずに淡々と取得していきたいです。
理解はできないですが,世の中の人は65歳を過ぎても労働意欲があるみたいです。