日本の製造業はAR等のIoTで世代交代を促進すべき
もう過ぎてしまいましたが、11月は一般財団法人日本科学技術連盟が定める品質月間でした。今年のテーマは「スマートプロセスで 現場力向上と価値づくり」です。スマートプロセスと言うのは自動化、IoTやAI等の最新のICT(情報通信技術)を駆使し、省人化・省時間化をした高効率のプロセスということです。(同連盟サイトより)
趣旨には賛同します。また,弊社でもすでに自動制御システムが導入されているところもありますが,まだまだ導入できる余地があると思います。
例えば,世代交代問題にスマートプロセスが導入できると思います。日本の製造業の課題はたくさんありますが、特に問題になっているのは世代交代です。現在50歳~60歳のシニア社員がぞろぞろ定年の年になっていく時期です。そのあとの30代~40代の社員は不況の影響で人数が少なく,20代の若手中心になります。結果として技術が継承されずに生産性が落ちてしまうという問題です。50代、60代のシニア社員の持っているスキルを若手にに継承できればいいのですが、細かなコツやトラブル時の対応などは紙のマニュアルでは表現しづらく、またシニア社員の多くはPCスキルが乏しいので紙(電子)マニュアル化すら十分にできていないのが現状です。本来は幹部社員が音頭をとって分かりやすいマニュアルに落とし込ませるべきですが儒教的な文化がはびこる製造業の世界では幹部社員よりも年上の社員に強く言えないのか、若手が積極的に教えを請うべきとの理屈で標準化されていないのが現状です。
AR技術を使った世代継承
そんな中、AR(拡張現実)を使った技術が現在注目されています。ARはポケモンGOにも使われている技術で、現実世界の光景に文字や映像を重ねて投影する技術です。この技術を使えば紙のマニュアルでは表現できない微妙なニュアンスを表現しやすいと思います。ARを使えば、注意事項なども対象の近くに表示することができかなり細かい部分まで対応できると思います。品質月間の目標でもある「スマートプロセスで 現場力向上と価値づくり」にも合致しているかと思います。実際,明電舎やヒロテック等では自社製品の保守サービスにARを導入しているそうです。
また、現場でタブレットを持ってうろちょろするのは現実的ではないですが、三菱ケミカルHDや二アンテックが共同でウェアラブルなゴーグルであるデジレンズを開発中とのことです。これなら、保護具の役割も兼ねられそうなので製造業の現場でも使えそうです。三菱ケミカルHDといえば日本の製造業の大手であり当然工場もたくさんあります。日経新聞の記事では「受注を待つ従来の姿勢を転換し,素材開発で主導権を握るため」このゴーグルを開発しているとのことですが,もしかしたら自社工場での保守やマニュアル使用目的での利用も視野に入れて開発しているのかもしれません。いずれにしても,せっかく技術があるのですから,有意義に継承できたらいいと思います。
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