会社員の給料が増えないのはグローバル化社会では当然のこと
世界銀行のエコノミストであったミラノビックが発表した興味深いデータにエレファントカーブというものがあります。これは1988年から2008年までの間に世界各国の個人所得がどう変化したかをしめしたものです。その見た目からエレファントカーブと呼ばれています。
グラフの一番左は世界で最も貧しい人,一番右は世界で最も裕福な人を表します。グラフを眺めると55分位のこころまでは徐々に増加していき,55分位から80分位の間で大きく下落,トップ1%は大きく資産が増加していることが分かります。
残念なのは75-90分位の領域の人たちで,マイナスやほとんど0の資産成長率となっている分位もあります。
そして残念なことに日本の中間層は最も資産増加率が落ち込んでいる75-90分位の領域に相当するそうです。日本人は残念ながら(少なくとも資産増加という観点では)グローバル化の恩恵を受けることが出来ていないようです。
そもそもグローバル化というのは人やモノの動きがグローバルになるということで,企業は生産拠点を比較的簡単に自由に選択できることを表します。その場合,人件費の安い中国などの新興国に生産拠点を移すのがいいということになるのでそういった国に住む人の所得増加率は増加するでしょう。逆に日本のような人件費が高い国はその逆で生産拠点を国外に移されてしまうので雇用が伸びず所得が増えないということです。
さらにグラフを眺めるとトップ層の伸びは新興国中間層並みとなっています。とはいえ,25-60分位の人たちの70%の伸びと,トップ層の70%の伸びでは全然訳が違います。
25-60分位の人たちの所得を仮に5000ドルとすると70%の伸びでは+3,500ドルです。一方で,トップ層の所得を1,000万ドルとすると70%の伸びでは+700万ドルです。2,000倍も違います。この領域にはアメリカの12%の個人が該当するそうで,ビジネスオーナーや大株主が該当することが想定されます。
例えばamazonのCEOのジェフ・ベゾス氏は離婚の慰謝料で資産の半分を失ったとはいえ,いまだ1511億ドル(16.5兆円)の資産を保有しているし,facebookのマーク・ザッカーバーグ氏も678億ドル(7.4兆円)の資産を保有しています。彼らは多くの自社株を保有しているので,amazonやfacebookが成長すればするほど保有資産が増大する仕組みです。
つまりエレファントカーブから言えることとしては日本で労働資本を生かして保有資産を増やすのは非常に難易度が高くなっており,それなら世界のトップ層に乗っかるように株式投資をしたほうが資産が増大しやすいということだと思います。
トランプ大統領が保護貿易を発動しているのでグローバル化の流れは減衰していく可能性はありますが,資源もなく輸出産業に頼っている日本ではますます労働資本を生かして資産を増やしていくのは困難な状況になっていくでしょう。
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