【思考実験】退職金を最大化する方法

以前記事にした通り,お世話になった先輩が退職することになったのですが,先日その先輩と退職金の話になりました。弊社は出勤時間などを申請する個人ページからその時点での退職金がいくらかを常に見れるシステムとなっているのですが,その先輩はこれまで一度も確認したことがなかったそうです。そして,退職するにあたり確認してみたら先輩が思っていたよりもかなり多い額の退職金がもらえそうで驚いたいうことです。ちなみに弊社の退職金制度は以下のようになっています。

  • 毎月一定額が積み立てられる(約3万円)
  • 毎月積み立てた額に利息が付く(年利2.5%)

毎月の積立額は入社年次や職階によって変わるのですが,入社年次がある程度のところまでは増加する一方で,50歳を過ぎると減少していくというシステムです。職階についても平社員の上級クラス(つまり課長ですらない)以降は一定額で高止まりするようなシステムになっています。以上のようなシステムのためある程度の年次を超えたら積立額は大体3万円程度で毎月一定となります。一方,毎月積み立てた額に年利で2.5%の利息がつくシステムになっており,退職金の積立額は年を取ればとるほど大きくなっていくシステムです。22歳で入社して60歳まで38年間勤めあげた場合の概算退職金は約2300万円です。下記のグラフを見てわかるように後半の伸びが著しく,それは毎月の積立額に掛かってくる年率2.5%の利息の効果です。2.5%と言ったら大したことないように見えますが,複利で効いてきますので効果は大きいです。早期退職する場合この複利効果を放棄することと同義なので,あくまで金銭面だけを考えた場合の早期退職の一番のデメリットは退職金の目減りだと思っていました。

【思考実験】いつ退職すると退職金を最大にできるか

退職金を最大にするということだと当然定年まで働くのが最大化できるケースです。(上図参照)しかし,そこに株式投資を絡めた場合どうなるのか興味があって算出してみました

以下のケースを仮定していつ退職した場合退職金が最大化できるか考えてみます。

  • 22歳入社、60歳定年を想定
  • 毎月の積立額は3万円とする
  • 積立額には年率2.5%の利息がつく
  • 退職したらその時の退職金を全額S&P500連動型ETFに投資(年率7.8%と仮定)
  • 退職後も別の会社で働くとし,退職金は0から積立(毎月積立額、年率は同等)

以上のケースを考えた場合,n歳の時に転職したとして60歳時点での資産合計(転職先の退職金+ETF積立額)は以下グラフのようになります。青い点がn歳の時に最初の会社を辞めたお金をETFに突っ込んで60歳まで運用した時の金額、オレンジ点が転職先でもらえる退職金の額、黒点が60歳時点での両方の資産(青点+オレンジ点)の合計です。

最初の会社の退職金をETFに突っ込んだ場合,あまり早く辞めすぎると退職金が少なく運用元本が小さくなるため60歳時点での資産額は比較的目減りします。逆に遅くに辞めると運用元本は大きくなりますが運用期間が短くなるのでやはり資産額は比較的目減りします。35歳~40歳くらいにピークがあります。一方で,転職先の退職金はまた0から積み立てしないといけないので,転職する年齢に反比例して少なくなっていきます。それなりに早く転職した場合,転職先での退職金も結構もらえるので有利に働きます。そして面白いのが両者を足した数字が(あくまで理論上の)60歳時点での退職金関連の資産になりますが,30歳~35歳で転職した場合一番資産額が高くなるという結果になりました。

これまで「転職する」=「退職金が目減りする」というデメリットを必ず負うことになると思っていたのですが,資産運用とうまく組み合わせることで回避できるかもしれません。あくまで机上の空論であるということを前提での話ですが,同じ会社にずっと勤め上げた時の退職金(2,332万円)よりも,33歳で転職して資産運用をからめた時の退職金(5,138万円)の方が2,806万円(実に倍以上!)もお得になる計算です。(あくまで計算上の話)
この話を先輩にしたところこれまで資産運用に興味を示してくれなかったのですが,前向きに検討したいという返答をもらいました。少しでも株式投資をする人が増えてくれたらありがたい限りです。

ここまでずっとお金のことを言っておいてあれですが,別に退職金を最大にするために働いているわけではないので,この結果をもって33歳で退職すべき!とかいうことを主張したいわけでないのですが,転職することで退職金が目減りすることを危惧して転職をためらっている方は一度ご自身の会社と転職先の会社の退職金制度を元に試算してみると面白いかもしれません。

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