アメリカが原油生産大国へ

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アメリカの原油生産量がサウジアラビアを超えた

2,3年前にはニュースで毎日のように報道されていた,シェールガス、シェールオイルですが,最近はあまり報道で見かけることもなく,鳴りをひそめているようにもみえます。しかし,実は着実に開発は進行しています。2018年の2月にはあの中東の石油大国であるサウジアラビアを超え1000万バレル/日に,8月にはロシアも超えて1100万バレル/日にせまる勢いとなっています。サウジアラビアはOPEC(石油輸出国機構)の関係で生産量調整をしているため単純な比較はできないかもしれませんが,石油を輸入に頼っていたアメリカがついに石油輸出大国になる日も近いかもしれません。2018年5月には東京ガスが受け入れたシェール由来のLNGが日本にも入っています。また,2018年のアメリカの石油生産量は世界の13%にまで達しており今後もますます増加する見込みです。これは同国の石油消費量の約半分にも達しており,輸出はともかく地産地消で賄える日は近いと思われます。

短期的にはまだ問題もある

トランプ大統領の経済顧問を務めるフリー・クロド米国家経済会議委員長は「米国はエネルギー業界における支配的なプレーヤーであり,いかなる供給不足もカバーできる」と豪語しておりますが,シェールオイルの採掘にはまだいくつか問題があり,シェール関連銘柄に投資して手っ取り早く短期的な利ザヤを稼ごう。というのは早まった行為かもしれません。

課題①パイプラインのインフラ整備問題

原油を市場に届けるにはパイプラインが必要です。このインフラ整備が間に合っていないというのが一つの問題です。米テキサス州西部からニューメキシコ州南東部にまたがる最大鉱区のバーミアン盆地では,パイプラインの輸送能力が限界に達しており,輸送しきれないほどの原油が生産されています。

課題②労働力不足

パイプライン不足問題にも関係してきますが,労働力不足も課題の1つです。アメリカの失業率は4.0%となっており,これは過去50年間で一番低いレベルの水準です。労働力不足はコストの増加につながります。

課題③水不足問題

シェールオイル、ガスはシェール層と呼ばれる層を破砕し採掘していますが,破砕に使わるのは大量の水です。1つの油井で破砕に用いられる水の量は約6500万リットルとなり,オリンピックサイズのプール25杯分に相当する水が必要です。これだけの量になると調達の問題もさることながら環境面でも問題性が懸念されます。実際コロラド州では新たな制約を加える動きがあり,その他の州でもそれに追随する可能性があります。

電力会社への投資が報われるか

短期的には懸念材料はあるものの,今後インフラが整備されて,人手不足も解消されればさらなる米国シェールオイルは発展することが十分見込まれます。エネルギーの安定確保というのは国の経済にとって大動脈のようなものです。第二次世界大戦では米英に石油輸出禁止というカードを切られただけで日本は戦略的に圧倒的に不利になり,振り上げたこぶしを下ろす場所もなく自滅していったというのは苦い経験です。

最近米国は中国やロシアなど全方位にわたりケンカを売っていますが,その背景には原油という大動脈を確保できそうという確固たる自信があるというのもありそうです。長期的には石油恩恵は米国全体にいきわたりS&P500等、米国平均に投資するだけでも十分なリターンが得られるでしょう。とはいえ,せっかく個別株投資をしているのだからもう少しよくばりたいです。たとえばBPやエクソンモービルは米国有数の原油生産量を誇る盆地に広大な鉱区を所有しています。すでに株価に織り込まれている可能性はありますが,もともと優良企業ですので,さらに投資冥利が高まっていると思います。

また,私が注目しているのは電力株です。発電と言うのはほとんどが火力発電に依存しており,その燃料源は石炭、石油、天然ガスです。私も仕事の関係で石油関連の情報に触れることが多いのですが,石油や天然ガスは輸送費や輸入のための費用というのは馬鹿にならず,もしもこれらのコストが相当分圧縮されるのでしたら相当な利益上乗せが期待できます。ですので,これらを原料にしている電力株銘柄というのは有望株と思われます。電力株としては例えばサザンカンパニー(SO)やデュークエナジー(DUK)があります。サザンカンパニーは既に購入済みですが,デュークエナジーについても今後新規購入したいですね。

サザンカンパニーは70年減配なしの米国の電力会社 サザンカンパニーはアラバマ州や、ジョージア州等の米国の南部地方を...

おまけ

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