先日の記事に書きましたが,たとえ弊社では社長になったとしても三菱商事の部長クラス給料より低い報酬のようです。
そのこと自体は残念ですが,給料の額でいうと現在の給料の4倍程度で絶対値としてはかなり多いです。しかしじゃあ社長が私の4倍しか責任ある仕事をしていないかというとそんなことは全然なくて,10倍、20倍、もしかしたら100倍以上は責任ある仕事をしています。日本では「責任ある仕事をさせてもらえること自体が素晴らしい」みたいな考えを持っている人が一定数はいますが,どうも私は日本での「責任」という言葉の使われ方自体に疑問を持っています。
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責任があるからにはリスクある決断をする必要があるはずですし,結果としてうまくいかないこともあるでしょう。その場合最悪退陣する必要があると思いますが,多くの日本の企業では社長が退陣するなんてことはめったになくエスカレーター式に会長になったり名誉顧問になったりしている。「責任」という定義が曖昧な言葉でごまかしておいてその実リスクある案件からは逃れているようにしか思えません。カルロス・ゴーンが高額報酬でバッシングを受けていますが,本来社長はそのくらいもらってしかるべきと思います。企業によって制度に違いはあるでしょうが多くの古い日本企業では役職の違いで多少の差はあるものの年功序列にしたがって増えていくだけです。
内部留保が溜まっていくのはリスクを取らないから。リスクを取らないのは役員報酬が低いから。
日本の企業があまりリスクを取らないのは体感する責任の重さと給料の上がり具合が見合っていないからではないかと個人的には思っています。責任は重いのに,給料があまり上がらないので「私程度の給料だったらそんなリスクある決断はしなくていいだろう」と大多数の幹部や上級社員が心の中で言い訳している(できる環境にある)から少しでもリスクある設備投資が進まず,内部留保ばかりたまっているのではないかと思うのです。
例えば決済を取りたいときも,本来であれば「このプロジェクトは成功すれば〇〇億円のコストメリットがあります。一方でこういうリスクがあり,リスクが顕在化する場合はこういうケースで現在の見立てだと〇〇%の確率で起こりえます。」みたいなプレゼンをして経営者がGOかSTOPの判断をすべきと思いますが,現実これでは決済は通りません。「このプロジェクトは成功すれば〇〇億円のコストメリットがあります。一方でこういうリスクがあり,リスクが顕在化する場合はこういうケースです。しかし,〇〇という方法をとればリスクはなくなるので100%成功します。」このようにプレゼンしないと基本プロジェクトは通りません。リスクがなくてメリットが取れることなんて限られているので投資案件がなくて内部留保が溜まっていくか,プロジェクト担当者がリスクを隠して推し進めるかの2択状態になっています。
これが,一定以上の役員が年間報酬10億円もらっているとなったらリスクを避けているだけでは明らかに責任を果たしていないので果敢にリスクをとれるのかなと思うのです。最悪うまくいかなくても10億円もらっていれば退陣したとしても生活できるし,果敢に挑戦したことが評価されて他の会社で重要ポジションにつけるかもしれません。
最近の市井の議論だとベースアップや同一労働同一賃金の話みたいに職階が低い人側の給料改善の議論が多い気がしますが,私はむしろ高給取りの給料を大胆にアップしたほうが結果的に日本経済が回ってその果実が一般社員や派遣社員にも回ってくるのではないかと思います。
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