JNJのベビーパウダーからアスベストが見つかり自主回収。株価も急落。
現地時間の10月18日、ジョンソンエンドジョンソンのベビーパウダーの一部の製品から微量のアスベストが見つかり同社は一部のロットのベビーパウダーを自主回収することを発表しました。
この報道を受けて,ジョンソンエンドジョンソンの株価は4.77%(2019/10/19 AM2:00現在)も下落しています。同社にとっては暴落と言っていいレベルです。
発表の内容としてはFDA(米国食品医薬品局)のテストでアスベストの一種であるクリソタイルがごくごく微量(0.00002%以下)含まれることが判明したためです。今回アスベストが含まれることが判明し自主回収すると発表した製品ロットは#22318RBで33,000ボトルがすでに市場に出回っているそうです。もし,万が一このロットを使用している人がいたら使用を中止したほうがよさそうです。
ただ,0.00002%以下というのはとんでもなく少ない量です。
日本でのアスベスト規制としては一部の建築資材で0.1%以上のアスベストが含まれるものが禁止されているので今回の濃度はその5000分の1の濃度です。
当然直接肌に触れるものなので建築材料と単純に比較することはできませんが,健康被害が直ちに出るかといったらそれはないでしょう。
ジョンソンエンドジョンソンも今回の自主回収については「念には念を入れて(out of an abundance of caution)」と言っています。
ただ,このアスベスト問題については以前から訴訟問題になっており,今回FDAという公的な第三者機関の調査でアスベストが発見されてしまったということは同社のイメージひいては株価にとっては痛恨の一撃となりうると思います。
なにせ,CEOのAlex Gorsky 自らジョンソンエンドジョンソンのベビーパウダーにはアスベストは混入されていないと宣言していましたから。私は,絶対に微量もアスベストが存在しないと証明することはアスベストの化学分析精度から言えないのでそのことはリスクだと思っていました。やっぱり,その通りの結果になってしまいました。
短期的には株価は荒れますが,中長期的には優良銘柄であり続けるでしょう
ベビーパウダーはジョンソンエンドジョンソンの消費者部門に分類されていますが,この部門は売上高全体の2割にも満たない部門なので,直接的な売り上げ,営業利益に与える影響は軽微でしょう。ただ,アメリカには懲罰的損害賠償金という制度があり,実際に起きた被害とは別に発症リスクの警告を怠ったとして訴訟で文字通り懲罰的な賠償金の支払いが命じられる可能性はあります。今後の訴訟次第では痛恨の一撃になりうる可能性は否定できずホルダーは動向を注視する必要があります。
とはいえ,今回の発表は非常にタイムリーで自発的な対応だと思います。ジョンソンエンドジョンソンはアワクレド(我が信条)という経営方針のもと株主だけでなく,顧客・社員・取引先全ての利益が大事という方針を唱えています。そうすることで企業の信頼が高まるので結果的に売り上げが上って利益も上がり株主にも報いることができるという思想です。最近のビジネスラウンドテーブルの株主第一優先主義の撤廃宣言はこのアワクレドがもとになっていると言われています。
そういう意味では今回の発表はアワクレドの精神にのっとった行動であり,長期的にはジョンソンエンドジョンソンの信用を高める結果につながると思われます。
とはいえ,先述の懲罰的賠償金の行方が不透明なので過度な楽観視は禁物です。ものすごいネガティブな最悪想定としては懲罰的賠償金によってキャッシュフローが悪化して,配当金の減配されるという可能性も0ではないでしょう。私はジョンソンエンドジョンソンの株をわずか20万円分保有しています。ずっと買い増ししたかったのですが,株価が高く追加投資出来ていませんでした。今後もっと株価下がるようだったら躊躇せずにボーナス全突っ込みするくらいの勢いで追加投資用と思っています。
短期的にはどうなるか不透明ですが,中長期的にはほぼ間違いなくジョンソンエンドジョンソンは株主に十分なリターンを与える優良銘柄であり続けると思います。少なくとも私は今回の迅速なリコールに対して,同社のアワクレドの精神を確認できたのでプラスにとらえています。
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