ビジネス・ラウンドテーブルが株主優先主義の見直しの声明を発表。影響は?

株主優先主義が見直されたが,長期投資家にとってはむしろ朗報か

ビジネス・ラウンドテーブル(business roundtable)はこれまで20年以上続けてきた「株主第一主義」を見直し,顧客や従業員、サプライヤー、地域社会、株主などすべてのステークホルダーを重視するという声明を発表しました。

ビジネス・ラウンドテーブルとはアメリカで有名な財界ロビー団体の一つで,アメリカの主要194社のトップが会員となっています。アメリカの全国レベルの財界組織としては,全米製造業者協会 (National Association of Manufacturers)、全米商業会議所 U.S. Chamber of Commerce、全米独立企業連盟 National Federation of Independent Businessなどがありますが,ビジネス・ラウンドテーブルは大企業の代表としてその利益拡大についての活動を行い,調査研究活動や政策立案作業に会員企業の優秀な社員がスタッフとして活動します。

メンバーは各社のCEOで顔写真付きで確認することができます。サイトに記載されているメンバーは2019年9月現在で,192名で今回の声明には181のCEOが署名したということで,今回の声明はほぼビジネス・ラウンドテーブルの総意と考えていいでしょう。

https://www.businessroundtable.org/about-us/members

(↑ビジネス・ラウンドテーブル参加企業がCEOの顔写真付きで確認できます。)

どの企業が声明に署名したかどうかは不明ですが,少ないともJPモルガン、J&J、アマゾン、アップル、バンクオブアメリカは署名しています。

その他,ビジネス・ラウンドテーブルの参加企業で米国株投資家が投資していそうな企業は下記の企業があります。

3M、Abbot、Amazon、American Express、Apple、AT&T、Bank of America、Boeing、BP、Coca-Cola、Duke Energy、ExxonMobil、GE、IBM、Johnson & Johnson、JPMorgan Chase、Lockheed Martin、Mastercard、Pepsico、Pfizer、P&G、VISA、Walmart、Wells Fargo

AT&T、Coca-Cola、J&Jなどは投資している人も多いので気になるところです。

株主への影響。長期投資家にはむしろ朗報か

気になるのは具体的にどういう影響が株主にあるのかというところです。

声明では,JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼CEOは、「アメリカン・ドリームは生きているが、ぼろぼろだ(The American dream is alive, but fraying)」と述べ,株主利益の追求はもはやアメリカの実業界の主目的ではなく、今後は利益を生むこととともに、社会的責任を果たすことにも注力すべきだとしています。

その上で新たに顧客(customers)、従業員(employees)、サプライヤー(suppliers)、地域社会 (communities)、株主(shareholders)の5つの全てのステークホルダーに利益をもたらすのが目的だと声明では述べられています。具体的には「従業員に対する公正な給与や「重要な手当」を提供すること」、「地域社会の支援」、「サプライヤーに対する倫理的態度」等が挙げられるそうです。

今回の声明の内容は既視感があると思ったら,ESGに似ていると思います。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものでで,企業の長期的な成長のためには,ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が世界的に広まってきています。要は財務だけでなく,倫理的に正しいことをしている企業が長期的には世の中の役に立って,ひいては株主の利益になるよね。という概念です。

財務指標の1つであるROEの高さとの組み合わせでROESGという指標もあります。ビジネス・ラウンドテーブルのメンバーではないですが,アルトリア・グループはROESGで世界2位のポイントになっています。

ESG×収益力は欧米の方が日本より2倍も高い。株価低迷中のアルトリア【MO】は世界2位 企業価値を図る物差しの1つのESGというのが最近注...

アルトリア・グループは過去長期的に見たら市場平均を上回るリターンを株主にもたらした歴史を考えると,株主以外にも配慮しながら企業活動を続けるという姿勢は長期的に見たら業績の安定,ひいては配当、株価の安定上昇につながると考えます。短期的な売買の投資家にとっては今回のニュースは後ろ向きかもしれませんが,長期投資家にとっては朗報と言えるでしょう。

とはいえ,今回の声明の意図はまだ分かりかねる部分も多いので,今後の企業活動に変更があるのかどうか,ビジネス・ラウンドテーブル、構成企業の動静に注視していきたいと思います。

声明は下記公式サイトから読むことが出来ます。(英語)

https://www.businessroundtable.org/business-roundtable-redefines-the-purpose-of-a-corporation-to-promote-an-economy-that-serves-all-americans

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