戦争拡大すれば長期的には株価が上昇する可能性があるがトランプ大統領の対応次第か
本記事は戦争と米国株の相関について考察した記事になります。日本株との相関に興味がある方は,イランとアメリカの戦争が勃発した場合,日経平均株価への影響はどうなるか?をご覧ください。
2020年は開始早々きな臭いニュースからスタートしました。すでに,各種メディアで報道されている通り,イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官らイランの要人が米軍の空爆により死亡しました。
アメリカ国防省は声明で,「大統領の指示で、米軍はソレイマニを殺害することで、海外の米国人を守るための断固たる防衛措置をとった」と表明しており,今回の殺害がアメリカが行ったことだということとトランプ大統領の指示だったことを明確にしています。
トランプ大統領は普段の過激な発言とは相反して基本的に非戦論者で昨年の6月にアメリカの無人偵察機がイランに撃墜された時も一度はイランへの報復攻撃を承認しつつも10分前に承認を取り消しています。報復攻撃を主導していたと思われる好戦的なボルトン大統領補佐官もその後更迭しています。その後のサウジアラムコへの攻撃の際も,イランが関与したと断定しつつも軍事行動には出ていません。
基本的に非戦論者のトランプ大統領が今回は自ら攻撃を支持した理由としては,昨年末にイランがイラク軍基地に30発を超えるロケット弾攻撃をしかけ,結果として米軍の民間人1人が死亡,米兵4人が負傷したことが最大の理由と思われます。死傷者が出てしまったことはやはり大きな境界線と言え,アメリカ側の今回の報復行動も一定の合理性が生まれます。
トランプ大統領がなぜ戦争に消極的かというと,もちろん尊い命が失われるということはあると思いますが,確実に理由として挙げられるのは戦争するとお金がかかりすぎるからです。トランプ大統領が政府の経常収支を気にしていることは米中貿易戦争の件や日本への兵器の購入の要請など各種の事実から明らかです。
当たり前ですが,戦争をするとお金がかかります。アメリカが第二次世界大戦以降行った戦争の戦費ですが,ベトナム戦争が1,100億ドル、イラク戦争が1兆ドルと言われています。これはそれぞれ当時のGDPの15%と10%に相当する額です。もし,今回のイランとの軍事衝突がイラク戦争並みになったと仮定すると2兆ドルもの戦費が必要となる計算です。
これまで,日本に戦闘機を買わせたり,各国と有利な関税協定を結んで築いてきた儲け分が一瞬にしてパーになる可能性すらあります。さらに,今回のケースは北朝鮮問題とは異なり,ほぼアメリカ単独の問題なのであからさまに戦費を日本や韓国から徴収するのは難しいでしょう。
戦争の影響により,長期的には株価はさらに上昇する可能性がある
今回のソレイマニ司令官殺害を受けて,NYダウは233ドル安の2万8,634ドルとなっています。また,原油価格は1バレル64ドルと2019年4月以来の高値となっており,BPやロイヤルダッチシェルなどの原油関連銘柄が上昇しています。また,円高も進行しており,直近のマーケットは今回の軍事行動に対して悲観的になっている状況です。
ただ,長期的に見ると戦争により株価は伸長する可能性が高いです。というのも,戦争というのはある意味公共事業のようなものなので,戦費が兵器生産業者や兵士や関連企業に流れることにより,企業利益や個人消費の伸びにつながるためです。
実際S&P500の長期チャートを見ると,第二次世界大戦以降の主要な戦争・紛争では株価は基本的に上昇しています。また,売上高の約7割を米・国防総省やNASAなどの米国政府が占めているロッキード・マーティン社の株価は今回の報道を受けてすでに3.6%も上昇しています。
そのため,今回の報道を受けて投資家は無理に悲観的になる必要はなる必要はないと思います。ただ,先述の通りトランプ大統領は基本的に非戦論者なので今回の軍事衝突はあまり長引かないのではないかとも思います。とはいえ,イラン最高指導者のハメネイ氏は米国への報復を表明しており,軍事行動に出たアメリカと国実的英雄を殺害されたイラン,どちらも引くに引けない状況となっており泥沼化する可能性もあります。
また,もし泥沼化した場合でも中東はこれまで石油を米国に輸出してきたという強みが戦略上ありましたが,アメリカはシェールオイルの開発により石油の海外依存が急激に下がっているのでイランの勝ち目はほぼないでしょう。
↓ついでにブログ村のバナーもクリックいただけるともっとモチベーションアップにつながります^^
にほんブログ村
↓Betmobは投資記事に特化したまとめサイトになります。こちらも応援クリックお願いします。