最近オーストラリアの高配当銘柄WBK(ウェストパック銀行)の株価が低迷中です。2018年9月19日現在の株価は20.32ドルであり,2017年の年間配当利回りベースだと7.0%もあります。同社の株はADRであり,オーストラリアのADRは現地税金がかかりませんので,税引き後の利回りで5.6%もあります。
WBKの株価低迷は4大銀行の不祥事が原因
株価軟調の理由としてはオーストラリア4大銀行(CBA、WBK、NAB、ANZ)の度重なる不祥事により,政府や世間、投資家からの銀行経営に対する不信感が高まっていることがあげられます。
・指標金利の不正操作問題で豪証券投資委員会がCBA、ANZ、WBK、NABを提訴
・CBAが資金洗浄・テロ資金供与防止法に違反の疑い
不祥事の内容としては「金利の不正操作」、「資金洗浄に関するもの」があります。このような背景から豪証券投資委員会(ASIC)が4行を提訴する事態となっています。さらに追い打ちをかけるように、豪州政府が大手銀行に対する銀行税課税案を発表すると株価はさらに減少、2017年12月には豪州政府は王立委員会を設置し銀行の不正に対する本格的な調査に乗り出しています。
不正だらけも経営は安定感あり
私もWBKに50万円ほど投資しています。このような不正だらけの豪州銀行ですが,投資先として特に問題ないと考えております。
・メイン事業の住宅ローンの利ザヤ、住宅需要は堅調に拡大
豪州銀行の経営環境は超盤石なので少々の不正くらい吹き飛ばしてくれると信じています。
上記について詳しく見ていきます。
4大銀行が不正に関与
豪州の銀行セクターの特徴として,貸出し総額の約8割を4大銀行であるコモンウェルス銀行(CBA)、ウェストパック銀行(WBK)、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が寡占していることが挙げられます。
4大銀行のすべてが指標金利の不正操作問題を、CBAが資金洗浄・テロ資金供与防止法に違反した疑いがもたれています。
4大銀行全てがやっちゃってる状況です
なんらかのペナルティは課されるでしょうが,似たり寄ったりの内容でしょう。
赤信号みんなで渡れば怖くないです
メインの住宅ローン市場は堅調
4大銀行の貸出先の構成としては住宅ローンが65.5%を占めています。
圧倒的な市場シェアを背景に、4大銀行は貸出金利に対しても強い決定権を持っています。実際、2018年2月時点の豪州の変動金利型住宅ローンは5.2%の水準にあり,豪州準備銀行(RBA)の政策金利(1.5%)を3.7%も上回っています。
さらに,豪州の住宅ローン市場は人口増加による実需拡大を背景に堅調に推移しており本業のほうは順調極まりない状況と言えると思います
銀行株の今後は王立委員会の調査による
豪州政府は今回の度重なる金融機関の不正を調査するため王立委員会を設置しました。
この王立委員会の設置は豪州最大野党の労働党が調査を求めていたものです。4行ははじめ王立委員会の設置に反対しておりましたが「政治的な混乱を終わらせるため」に調査を受け入れることを発表しました。
王立委員会では2018年3月より,銀行・保険・年金業界の不正や経営・内部管理の実態について各種公聴会を開催するそうです。2018年9月30日までに中間報告、2019年2月1日までに最終報告を公表予定となっています。とりあえずそろそろ発表される中間報告の結果については注目しておいた方がよさそうです。
まとめ
相次ぐ不祥事により株価が軟調で推移している豪州銀行ですが,人口増を背景とした豪州経済の堅調な推移により不斉の膿を出し切れば株価の持ち直しが期待されます。特にWBKは高配当株ですので,ナンピン買いには最適な状況です。
2018年9月30日までに王立委員会の中間報告がありますのでその結果によってはさらに株価が下がる可能性がありますが,経営自体は盤石な見通しですのでどんどん買い増していきたいですね。冬のボーナスの投資先有力候補の1つです
ウェストパック銀行に投資した時の記事です