【バブルの懸念】サウジアラムコのIPOバブルはどこまで行くのか。もし日本市場に上場しても高値つかみに注意が必要。
11日に全株式の1.5%をIPOで上場したサウジアラムコですが,上場一日目は公開価格の32リアルに対して,初値からストップ高10%である35.2リアルをつけ,そのまま終値までストップ高水準のままで初日を終了しました。上場2日目もストップ高の38.2リアルで始まっており,ムハンマド皇太子が掲げていた時価総額目標の2兆ドルを上場2日目で達成しました。マイクロソフトやアップルよりも1兆ドル近く高い時価総額となります。そもそもIPOする株は値上がりしやすいのに加えて,超巨大・超話題のため今後どこまで値上がりするかはもはやだれにも分かりません。
2兆ドルとは約220兆円で,生まれてから毎日100億円使ったとしても60歳でやっと使い切る計算になります。もっとしょうもない計算をすると2兆ドルで配当利回り5%の株を買ったら毎年11兆円の配当金と言う不労所得が得られます。
巨大企業すぎてもはや誰も正確に価値判断できないのですが,政府が依然として経営権を握っていること(株式の98.5%は未上場)に伴う政治的リスク,石油価格の厳しい見通しなどから,悲観的な見方もあります。現在の時価総額は原油価格が1バレル=100ドル(現在は60ドル程度)の状況でしか理にかなわず,いずれは下落局面を迎えるという分析をしているアナリストもいます。
一方で,サウジアラムコの石油生産コストは1バレルあたり2.8ドルで,米シェール企業は技術の標準化などでコスト改善に取り組んだとはいえ,それでも生産コストは30ドル以上なので圧倒的な価格優位性を持っています。ただ,もはやでかすぎて何が適正なのかが分かりません。
黒い疑惑もあるムハンマド皇太子も上場がうまくいってご満悦か
2020年の海外上場は実質的に取りやめもまだ日本に上場する可能性はある
サウジアラムコの目論見としては,今回の国内上場の成功を海外上場につなげたい考えで,東京証券取引所が上場誘致を目指していましたが,サウジ政府は2020年の海外上場を実質的に取り下げたという報道があります。日本からサウジアラムコの株が買えるのはまだまだ先のことになりそうです。サウジアラムコの発表では2020年の株式配当の下限を750億ドルとしておりこれは日本企業の配当総額の7割に相当します。発行済み株式数も多いので配当利回りはそこまで高くないのですが,巨額のお金を株主に還元するということと今後,技術革新などでもっと川下の産業に進出した場合の成長期待性は期待が持てます。というのも石油を原料に作られる化学品の多くは原料価格が安いほど競争優位性を持つので,サウジアラムコが本気で石油産業の川上から川下まで制圧しようと思ったら業界は激震するでしょう。環境活動家のグレタさんももはや潰す相手がでかすぎて諦めるかもしれません。
あまりにもでかすぎて将来期待やリスクを正確に算出することは不可能ですが,アナリストの解析では25リアル(6.7ドル)が適正価格との見方もあり,もし日本市場に上場したらその価格を目安に手を出すか判断するのも一案です。
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