国内主要企業を対象に行った調査によると,働き方改革によって削減できた残業代を社員に還元している企業はわずか14%しかないことが分かりました。「還元していない」・「還元を検討中」という企業の方が圧倒的に多く働き方改革により,残業代が減って生産性が向上したにもかかわらず大半の企業は社員に何にも還元していないということです。
還元したと回答した企業14%においても,基本給の上乗せは16.7%しかなく,ボーナスの上乗せが22.2%、各種手当の支給が16.7%、研修制度の充実が12%となっています。
これらの,数字を合算すると,働き方改革で削減できたコストダウン分について,「給料アップ」という効果が永続が期待できる形で還元されたのはたったの2.3%でしかありません。
働き方改革の効果により,弊社でも残業時間は減少傾向にあり私も定時で帰ることも多いですし,周りもその傾向があります。ただ,給料以外しか収入源のない人の大部分は残業代が減った分がほぼ直接的に収入ダウンとなっている状況です。
企業がその分の浮いたお金を何に使っているかと言うと株主還元です。2019年の日本企業の支払い配当金総額は11.6兆円であり,6年連続過去最高となっています。また,自社株買いについても,過去最高レベルの10兆円越えとなる見込みで,企業が上げた利益は給料の増額ではなく,圧倒的に株主に還元されていることになります。
これは,全く驚くことではなく,日本でも話題になったトマ・ピケティ教授が21世紀の資本で提唱したr>gが全くその通りになったということかと思います。rとは資本収益率のことであり,資本(株式、土地などの財産)がもたらす利益のことを,g経済成長率のことで給料はgに概ね比例するはずなのですが,なぜがここ30年の日本では給料の伸びは経済成長率の伸びよりもさらに低くなっています。
ピケティさんのすごいところは,これまでの経済学者はせいぜい数か国のデータを100年分くらいしか調査していなかったところ,彼は,20カ国以上の200年以上のデータを精緻に調査したところにあります。そのため,このr>gという不等式はピタゴラスの定理くらい真理であり,働き方改革で生産性を上げたところで給料に還元されておらず,配当などの株主還元に回されている状況は全く持って合理的な状況と言えます。
ピケティさんは政策により富を分配すべきと言う結論ですが,悠長に待ってもいられないので,一人一人がすぐにできることは株式投資をすることです。私はそれに加えて早く帰った時間でブログを書いており,株式投資の利益と合わせれば早く帰った分の残業代程度にはなっています。
ピケティ教授の本は日本でも13万部発行され,結構話題にもなったのでいいかげん日本でも株式投資が広まるのかと思いきや2019年はそこまででもなかったかなという印象です。
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