株価暴落&増資にもかかわらず久美子社長は続投,株主だけが悲惨な目に
虫の息となっている大塚家具に対してヤマダ電機が救いの手を差し伸べることが発表されました。第三者割当増資で約38億円,さらに新株予約権を発行することで最大76億円をヤマダ電機から調達できるという内容です。第三者割当増資分だけで株式の51%を占めることになるので事実上,大塚家具はヤマダ電機の傘下に入ることになります。
プライドが高そうな久美子社長にとってはヤマダ電機の子会社になることは筆舌に尽くしがたい屈辱でしょうが,2015年には110億円あった現金が,2019年末には22億円にまで急減して,もはや倒産の危機に合ったので仕方がないと言えるでしょう。
そもそも,大塚家具の経営が悪化したのは久美子社長が強引に従前の高級家具路線を変更して庶民向け路線を打ち出したことにあります。高級家具が欲しい客層はこの路線変更により離れていき,家具にそこまでこだわらずコスパ重視の客層はニトリに行ってしまうのでどの客層からも支持されない結果となり,業績が超低迷してしまいました。間違いに気づいた時に父の勝久氏に許しを請えばまだなんとか持ち直せたものの,いったんやり始めたことは引けない性格なのかずるずると業績ばかりが低迷している状況です。
ヤマダ電機の大塚家具とのコラボレーションの計画とは
一方,ヤマダ電機の方も経営が順風満帆というわけではありません。2010年には売上高2兆円を達成したものの,その後は減益・減収となっています。そのため,一時は会長に身を引いていた創業者の山田昇氏が社長に復帰してテコ入れを行ったこともあります。(現在は会長兼取締役会議長)
背景には,アマゾンなどのECサイトの台頭があります。ヤマダ電機は他店よりも1円でも安い価格を売りにしていますが,それでは店舗を持たないECサイトに対して対抗するのは非常に難しいという背景があります。そのため,低価格路線だけでない接客やさまざまな提案などのトータルサービスで顧客を囲い込むという戦略をとっており,今回の大塚家具の株式引き受けもそういった背景があります。
ヤマダ電機は2017年から,「家電住まいる館」という,家電製品だけでなくソファやベッドなどの家具やキッチン用品を販売する店舗を展開,類似のサービスである「LABI LIFE SELECT」を含めて全国に拡大中です。そういった背景もあり,ヤマダ電機としては大塚家具というブランドが魅力的に映ったのでしょう。
また,会見で山田昇氏はなぜ大塚家具の株を引き受けたのかについて問われ,「(大塚家具は)粗利が高いんですよ。売上高が10%も伸びれば、たちまち黒字になる」と発言しています。ヤマダ電機の店舗も利用して売り上げを伸ばせば勝算があるという見方だと思われます。
ただ,裏を返して逆にニトリが家電を売れば最強なのでは!?という気もしますが,今後のヤマダ電機・大塚家具・ニトリの挙動に注目したいと思います。
社長が責任を取らずに株主に押し付ける日本企業
私は当然のごとく大塚家具の株は持っていないので,どうでもいいのですが,個人的にびっくりしているのはこの期に及んで久美子社長が退任していないことです。今回の業績低迷は明らかに久美子社長の低価格路線変更の失敗にあり,株価は暴落,配当金も無配に転落,さらなる増資と株主にとっては悲惨すぎる状況です。米国企業であったら確実にCEOは退任に追い込まれるでしょう。ここまでやってもなお社長の座に居続けられるというのは異常事態と言ってもいいでしょう。大塚家具だけではなく,最近記憶に新しいところでは日産自動車が営業利益85%減に伴う,配当金の減配があります。CEOの西川氏はCEOを退任したものの,取締役には留任するという明らかに優しすぎる処遇です。今回の久美子社長留任のニュースはさらにひどいものですが,このようなニュースを見る度にやはり日本株をメインにした投資というのはリスクが高いなと感じます。
日本株を全く保有するなということではありませんが,米国株を主軸とした,世界企業への分散投資(状況によっては+債権)がやはり最強だと思います。
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