【芸術的なヤジの諫め方はもはや名言】イギリス議会のバーコウ議長が退任

日本の国会でもバーコウ議長みたいな人が出てくれば国会に注目が集まるかも【ネクタイにも注目】
2009年から10年間イギリスの下院議長を務めた，ジョン・バーコウ氏が10月31日に議長を引退しました。この期間の議会の懸案事項と言えばやはりEU離脱（ブレグジット）でしょう。2016年に国民投票で過半数で可決されたものの，一向に実現せずすでに3年以上がたっています。12月の総選挙でボリス・ジョンソン率いる保守党が圧勝したことでようやく離脱が現実味を帯びてきましたが，この間の議会の運営をするという役割の重要性と責任は想像もできないものでしょう。

バーコウ氏は日本ではほとんど知られていませんが，ボリス・ジョンソン並みに破天荒な人で見ていてとても面白い人です。日本の国会同様イギリスでもヤジが横行しているのですが，首相が野党党首がしゃべっていようがお構いなしに議長が割って入っていってヤジを諫めにかかります。それもただ注意するだけでなく，ジョークを交えて相当長く話しており，もはやどっちが演説しているのか分からないくらいです。

バーコウ議長
首相の演説です。
（国会はヤジの嵐）
ボリス
保守党政府のミッションについて述べさせていただきます（ブーブー）。我々のミッションは10月31日のEU離脱の実現です（ブーブー）。バーコウ議長
静粛に！首相、割り込んですみません。議場がうるさすぎます！（ブーブー）。首相に自分の意見を叫んでもいい（shout out）と思っている議員が多すぎます。はっきり言って「ダメです。」首相の演説は聞かれるべきですし，首相に質問する時間はたっぷりとります。首相の演説は聞かれるべきで，しかも礼儀を持って聞かれるべきです。ボリス
議長ありがとうございます。同時に私は，この偉大な国の可能性についてネガティブな見方が多すぎると思います。（ブーブー）。

他にもその独特な野次の諫め方は特徴的で相田みつを的ですらあります。

バーコウ版「だって人間だもの」的語録

・野次で妨害することは許されません，息の無駄遣いです。
・どんなに組織的にヤジを重ねても無駄です。今日だろうと明日だろうといつであろうとも。諦めなさい。意味がない。そもそもあなたはヤジがへたくそだ。
・エリスさん，あなたは昔弁護士でしたね？法廷では自席で叫ぶなんて許されませんでしたよね？野次を飛ばしたいから法曹界から政界に転身したのですか？昔出来たんだからおとなしくしなさい。
・演説の相手を叫び倒してはいけません。生体の無駄遣いですし，そもそもやる意味がない。
・マクドナルドさん！あなたは情熱的ですね。鎮静剤を飲めば気分がよくなるでしょう。
・レイヴェリーさんも情熱的すぎますね。落ち着いてみなさい。癒されますから。

すごいのは，実名を挙げてさらに「鎮静剤を飲みなさい」みたいな過激な発言をしていることです。日本でやったら確実にマスコミに上げ足を取られて失脚させられるでしょう。確かに野次はすごいですが，どこか人間味があるし議論自体は進んでいます。日本の議会みたいにどうでもいいことの重箱の隅をつつくようなことにはなっていません。発言内容もそうですが，独特のアクセントの英語が妙に味があってぜひ生のバーコウ節を聞いてみて欲しいです。