金融庁がワースト3にした外貨建て生命保険の問題点3つ

外貨建生命保険は手数料が不明瞭でインフレが考慮されていない

普段から私が投資を進めている人から報告がありました。曰く,ついに投資を初めたとのこと。やったー!

ただ詳しく聞くと投資先はS&P500連動型の投資信託のようなものではなく某大手生命損保会社の外貨建て生命保険に加入したそうです。

外貨建生命保険といえば金融庁がダメ出しする運用商品ワースト3にも選ばれるほどの全く庶民向けではない商品として有名です。

今回その人が加入したのは毎月一定額をドル建てで積み立てて満期の60歳になったらいくらか上乗せされて帰ってくるタイプで万が一その間に死亡したり重度の障害になったりした場合一定の補償金が支払われるタイプです。外貨建生命保険としてはオーソドックスなものと言えるでしょう。

以下その人が加入したという外貨建生命保険の説明書を見て相当気になった部分3点についてまとめてみたいと思います。またこの3点はこの手の外貨建生命保険のほとんど全ての商品に該当しそれ故にあなたがお金持ちになりたいのであれば外貨建生命保険には絶対に加入してはなりません。

手数料が不明瞭

通常投資信託やETFであれば運用手数料が明示されています。例えばS&P500に連動する投資信託であるeMaxim slim(米国株式 S&P500)であれば年間運用コストの信託報酬は0.162%です。言うまでもなくこの手数料は低ければ低い方が良いです。どのくらいが適正かと言うと0.3%以下が望ましく妥協してせいぜい0.5%以下が許容範囲でしょう。

一部のアクティブファンドで本人がどうしても気に入っているのであれば1%程度までは私は干渉しません。1%なんて大したことないかもしれませんが市場平均の年率平均リターンが7%程度なので1%は決して小さな差ではありません。

さて、問題の外貨建生命保険商品ですが手数料が高いかどうかともかくそれ以前に全く明示されていませんでした。もはや法的にどうなのかと思うようなレベルです。ネット等で調べると4%程度とあったり7%と書いてあるサイトもありました。暴利も甚だしいです。

明示されていない以上確かなことは分かりませんが生命保険会社が人件費などの経費を賄わないといけないことを考えるとこの手数料は相当に高いことが推測されます。4%、7%という数字はある程度確からしいでしょう。この時点で庶民が購入対象とすべきではないです。

インフレが考慮されていない

当該商品ですが35歳時点から60歳まで毎月278.95ドル、総額83,685ドル支払うと60歳時点で満期保険金100,000ドルが受け取れるとあります。総額83,685ドルの払い込みに対して100,000ドルと1.19倍も受け取れるのであれば少なくとも損はしないと思うかもしれませんがこれはインフレが考慮されていない数字であり正しくない見方です。

アメリカは年平均2%程度でインフレしているので60歳時点のドルは今の価値に直すと61,578ドルしかありません。額面価格では確かに1.19倍の得ですがインフレを考慮すると38%のマイナスです。

めんどくさいことしなくてもS&P500で十分儲かる

こういう外貨建生命保険はまだネットで庶民が気軽にETFなんかを購入できない時代の遺物です。今は誰でも簡単にネットで優良ETFを購入できる時代です。わざわざ生命保険会社を通して馬鹿高いマージンを取られる意味は全くありません。例えばアメリカ市場によく分散された先述のeMaxim slim(米国株式 S&P500)であれば年平均7%程度のリターンが期待できます。これはインフレを考慮済みの期待利回りです。35歳から毎年30万円を60歳まで積み立て投資した場合1,897万円になります。当然,運用期間が長いほど,投資金額が多いほどこの期待値は高まります。

購入者の労力は全然変わらないのでeMaxim slim(米国株式 S&P500)ではなくて外貨建生命保険を購入する必要性が全くありません。

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まとめ

以上庶民が外貨建生命保険に加入すべきではない理由についてまとめました。私が非常に悪質だと思うのは保険の説明書にはだらだらとどうでもいい説明が述べられているにもかかわらず肝心の手数料については明示がないことです。これは明らかに意図的でありそもそも被保険者に利益をもたらそうとは考えていないと思われます。また日本は長くデフレであったためインフレの意識が庶民はなくその点も悪用しています。どう考えても庶民の利益を最大化しようという意図ではなく保険会社が手数料を巻き上げるためでしかないような商品です。

とはいえ投資の手始めとしてはやらないよりはいいと思います。やってみることで見えることもあると思います。なぜかというと実際に自分のお金をいくらかでも使うか使わないかというのは大きな差があると思うからです。私も最初は日本株をやった経験から,「これでは(少なくとも私は)一生お金持ちにはなれないな」と思って色々調べて米国株にたどり着いた経緯があります。何もしないよりは色々ともがいてみることは重要です。

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